売れない保険屋さん

セールストークのネタになれば。

~第46話:最後のバッター・パンツオールスター~社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

~第46話:最後のバッター・パンツオールスター~

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「お願いがあります」

「なあに?」

「大変困っています」

「・・・だからなに?」

「1件付き合ってください」

「ふん、とりあえず話聞く」

電話がつながった!まずは最初の難関を超えた!ノリピーの一人暮らしの家に駆け込む。日曜の夜21時を過ぎている。残された時間はあと12時間切った。プルデンシャルへ戻ってプランを作成するヒマなどない。PCで作りながらプレゼンして申込させるしかない。

「1件お願いします!」

「だからどんなの?」

ノリピーとは約2年ぶりの再会だった。今までちょこちょこ電話で近況報告などしてたくらいの関係ではあったけど、「保険には入らないから来ないでね」と言われ続けて来たオンナだ。私にもプライドがあったし、保険に関してこのオンナには絶対に近づかないとも決めていた。

「絶対に入らないって言ったよね?」

「話だけ聞いてください」

PCを起動させながら5歳年下のノリピーにクドクドと嫌味を言われる。相変わらずドライだ、ノリピーめ、なんだか疑心暗鬼になって来たよ。なんで俺はこんな嫌味を言われないといけない業界に足を突っ込んだんだ、立場が逆になってるじゃないか。俺が上でノリピーが下だったろ?世の中はお願いする側の立場が圧倒的に弱いのはわかっているが「ふん、仕方ないな、保険に入れてやるよ」なんて営業方法があるのだろうか。「保険はこの人から絶対に入りたい!」と思わせるような、例えば私がジャニーズで全国のジャニオタどもの圧倒的な支持を受けている教祖のような状態ならありえるかもしれないが、そんな状態になる確率など皆無じゃないか。という事はつまり一生こんな感じなのかもしれない。しかし営業とはそんなものだ。トヨタのトップセールスだって「車はこの人から買いたい」と思わせるまでは出来るとしても「お願いします!アナタから買わせて下さい!」なんて人が山ほどいたら正直コワいね。確かにプルデンシャルのセールスマンの中には「入るならあの人がいい」レベルの人はたくさんいるけど、そこまで到達するにはすごい時間と努力があったのだと思う。

「とにかくお金が増えるんだ」

ノリピーにはこれしかない。パチンカス出身でこいつも金には目がないオンナ。こう言った類の話は好きなハズだ。

「保険じゃないの?」

「保険を使ってお金を2倍に増やすのさ」

「え、スゴイじゃん、アヤシイけど」

「だろ?ww」

起動したPCでプランを打ちながらノリピーを口説く。生年月日を打ち込み、概要のプランを作ってモニターで見せる。

「コレ、ほんとなの?」

「うん、コレ、至上最強のヤツ」

そこでさらにぶっ込む、将来は円安トークだ。将来1ドル200円になったら受取り金額は4倍だ。私達が年金を受け取る頃には超高齢化社会だ。間違いなく日本の国力は落ちる。200円は大げさかもしれないが、そんな力のない国が円高に動くハズがない。

「ふーん、面白いじゃん、いいよ」

(ノ゚□゚)ノ!

しかし油断は禁物だ。ここまでは予想通りの反応だ。問題は保険料なのだ・・・。

 

「最低は70ドル(6,900円)くらいなんだけどさ」

(バツ子より若いから少しは安い。でもさっきはコレで失敗したけど・・・)

「はあ?」

(ダメか・・・?)

「いっぱい掛けたほうがいっぱい増えるんだよね?」

 

「3万くらい行こうか」

 

オオオォォォ!!(ノ゚□゚)ノ

オオオォォォ!!(ノ゚□゚)ノ

オオオォォォ!!(ノ゚□゚)ノ

ノリピー、逆転サヨナラ満塁ホームラン!WBCでイチローが打った時並みに感動だ。お前ってヤツはどうしてそんな気前がいいんだ。だいたいパチンカスはそんな気質があるのは知ってたのでまさかとは思っていたけどさすがノリピー、年間36万掛ければ、25年で900万円。その900万円が受け取り方法次第では約1,800万円くらいまで跳ね上がる。そこを理解できればこれほどいいモノはないぞ。(※今の内容は知りませんよw)

いい買い物じゃないか、ノリピーよ。顧客満足度が高い買い物をした際、人は紹介をしたくなり、これをキッカケにまさかのノリピーも私に紹介を出してくれる事になる。保険など大嫌いだと言っていたノリピーがまるで私を「うまいラーメン屋があるんだけど」とでも言うように友人知人に宣伝してくれた。パチンカスはパチンカスを呼ぶ。ほとんどが昔のパチンカスつながりだったが、この紹介の連鎖で私はかなり高成績を出せるようになり、一気に軌道修正、100週も達成となり、その後も安定して連続挙績が繋がり出した。ほとんど商品売りだったけどw

しかしノリピーのおかげで助かった。窮地に一生、地獄に仏とはこの事だ。単身、プルデンシャルに、なかば勢いだけで乗り込んだ私。とにかくがむしゃらにやってきた、もちろんパンツも脱がずに。人生を掛けて、だのと意気込んでみたものの所詮、パンツを脱がなければ私もこんなもんだと気付くと同時にここに来て初めて「応援してくれる人」の存在にも気付き、それがどんなに有難いものかと心身に染みた。

つまり一気にノリピーが私の中で特別な存在になってしまった。

 

いつになったら終わるんだ、つづく

 

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