売れない保険屋さん

セールストークのネタになれば。

~第44話:パンツオールスター夢の祭典~社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

~第44話:パンツオールスター夢の祭典~

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「いいかどうかはご自身で判断してください」

「イヤだ」

どうして「保険の話」ってなるとみんな拒絶反応を起こすんだろう。今回に始まった事じゃないけど、数々のサークルや合コンで戦ってきた戦友(とも)達でさえ、「イヤだ」と言われてきた。正直、プルデンシャルの話は聞いた方が良い。マイホームの次に高いと言われ、人生で何千万円も掛けるような商品を言われるがままにテキトーに入っている人たちのなんと多い事か。もうね、アホかと。そんな輩は未だに小一時間問い詰めたいワケですよ、でもここで問い詰めると長くなるので辞めましょう。

さて、という事でパンツオールスターの1番バッター、女王。アウトおおおおお!あんなに激しく俺のおティンティンを愛してくれたクセにおティンティンが無ければ俺は所詮こんなものか。愛(ティンコ)がなければ会う事すら拒絶されるのか。というか拒絶されたのは保険の話とかではなく、私自身なんだろうな、とも思っている。だってもう女王にとって忘れてしまいたい過去の一人だろう。左遷された関連会社で頑張って再起を図っているようなのでキャリアウーマンとしても私の存在は邪魔そのものだと思う。

「いいかどうかはご自身で判断してください」

「いいよ、聞く聞く」

パンツオールスターの2番バッター、ボブ子。なんとアポイントが取れてしまった。あんなに邪険に扱って、しまいには「金くれたら抱いてやる」だなんてアホな取引をした結果、新幹線で週2は私の元へ通い詰めたメンヘラボブ子。あれだけ私に邪魔扱いされたボブ子、受けた金銭的&精神的なダメージは相当だろうと思う。何か裏もありそうで正直コワい。しかし私には後がない。メンヘラだろうがなんだろうが今は「契約」が必要なのだ。この転職で失敗は許されない、何しろ人生を掛けているのだ。

今までとは逆で私が新幹線3駅離れたボブ子に会いに行く形となり、喫茶店で会う事になった。あれだけ私に尽くしてくれたボブ子だ、きっと1件くらい入ってくれるのではないか。期待に胸を膨らませ15時のアポイントへ向かう土曜の昼下がり。これを落とすと後がない。今日、話を聞いてもらい、今夜保険を設計。そして明日の日曜に契約を貰えればイケそうだ。

「私、結婚しまーす!」

なに!そうか!それはおめでとう!心身ともに私から離れてくれるんだな!しかも結婚するならなおさら生命保険は必要だぞ?プルデンシャルの商品は家族向けだと抜群な威力を発揮する。独身より世帯だ、やったなボブ子!本当におめでとう!しかし問題はある。世帯でプランニングするにはご主人とも会う必要がある。私には時間がないのだ。「連続挙績」を切るワケには行かない。

「とりあえず、自分自身の保障から考えようか」

この際、とにかく1件だ。もうすぐ結婚するとは言え、独身のうちでも最低限の保障は必要だ。何しろ次に会った時に保険に加入できるとは限らないのだ。

「いや、いらない」

 なに?

「似合わないね」

なんだと?

「人が変わったみたいで気持ち悪い」

そうさボブ子よ、俺は変わったんだよ。人生掛けるからには性格も服装も話し方もすべて変える、それで成功するならパンツすら脱がない所存だぞ。すごいだろ?それをなんだ、気持ちが悪いだと?うん、確かに気持ち悪いよな、あんなにぶっきらぼうで適当でどこから見ても「私はO型です」と血液型性格判断でO型の代名詞のような私が生命保険を通して「アナタの人生を守ります」的な事を言っているのだ、ボブ子にとっての私はボブ子の人生をメチャメチャにしたヤツくらいにしか思われていないと思うし、それは大きな誤解だと言いたいところで、むしろ私だって大変だったんだけど過去を振り返ると、ライバル会社との競合に勝てないが為、内部情報を取るために私からアプローチされ、私のおティンティンにズブズブにされ、利用価値がなくなったら捨てられた。でも私を諦め切れないボブ子は転勤先の私のマンションをストーキングの末に特定し、平日ですら新幹線に乗ってまで転勤した私を追い求め、さらには私にお金払ってでも肉体関係を持ち続ける事で私の気持ちを振り向かせようとしたケナゲなボブ子。私もお金の為にボブ子との関係を持ち続け、その金をパチンコに注ぎ込んでは別の仕事の為とは言え他のオンナを落とそうとしていたのだ。こう書くとホントに酷いヤツだな、誰だそいつはってそれは私か。そんな私が逆に新幹線に乗ってまでしてボブ子に会いに行き、「私は生まれ変わりました」と言わんばかりの立ち振る舞いで生命保険の加入をお願いしているのだ。そんな状況から考えると気持ちが悪いと思われても仕方ない。

「今日は会いたかっただけ」

「結婚の報告と・・・うん」

きっと心身ともに過去を清算し、自分の気持ちをしっかり整理して私と決別しようと思ったのだろう。こんな私なら一切魅力は感じないと言わんばかりのボブ子だった。ただ、私に復讐しようとかそんな想いもないようで冷静に考えるとボブ子は普通に本当にいい子だ。幸せになれよ。

 

とか言ってる場合じゃない!

ボブ子、アウトーーーーー!もう時間がない!連続挙績が切れる!

 

注※ボブ子とは現在も連絡取り合っています。その程度だけど仲良しな感じです。

続く