売れない保険屋さん

セールストークのネタになれば。

~第40話:ノリピーは津波~社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

~第40話:ノリピーは津波~

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「人生掛けて転職します」

「ふーん、あっそ」

「なので俺たちもこれでオシマイにしよう」

「ふーん、あっそ」

「いやあの、マジでちょっと人生やり直すから」

「ふーん、頑張ってね」

 

・・・ドライだ。なんてこったノリピーめ。もっと激しいリアクションというかメンヘラ的な反応があるかと思いきや、あまりにもあっさりと理解してもらった。プルデンシャル生命へ転職する前に片づけないといけない問題のひとつ、「ノリピーとキレイに別れる事」は意外にもカンタンに片付いたのだ。ボブ子の件もあったので相当の覚悟をしていたが、ノリピーにとっても私はただの遊びだったのかもしれない。いや、そんな事はない、あの自傷癖な日々を思い出せ、私はとんでもない苦労をしたじゃないか。夜な夜な私の枕元に立ったコイツだぜ?なにか落とし穴があるハズ、私達の別れ話に「通常以下」の反応などこいつに限ってあるワケがない。でもあまりにもアッサリだったけど、理解してくれたの?本当にいいの?アンタを刺して私も死ぬ~とか言わないの?

半信半疑ながらとてつもない安堵感に包まれた一方、なんかあまりにもツレナイじゃんかと思うほどアッサリ。別に別れる必要はなかったのかな?冷静に考えるとクライアントの次期社長夫婦を離婚させてしまったとは言え、私は転職するからもうその会社とは関係なくなるし、離婚してからぼちぼち時間も過ぎてるからこのままバレなきゃこの関係はズルズル行っても問題ないのか。第一ノリピーはいいオンナなのでもったいないじゃないか。あ、ミスったの俺?

「あ、私も会社辞めよっと」

なに!なおさら会社は関係なくなるじゃねーか!それなら別にこのままでも良かったね。確かに最近はメンヘラな片鱗も消えて来たし、落ち着いたいいオンナになって来たノリピー。いやいや違う、ちょっと人生掛けて勝負だから身辺整理、キレイさっぱりしたいんだ。今から猛勉強も始まるし厳しいトレーニングも始まる。文字通り、寝るヒマがなくなるんだ、俺は高見を目指すのだ、ノリピーにかまってる暇はないんだよ。

「そうか、じゃあこれからも会えるのかな」

「まあね」

「でもあんた、頑張るんでしょ?」

あいたー!未練があるのは俺じゃねえか!私もやる気があるとは言え、不安な気持ちだってもちろんある。だって生命保険の営業だもん、難しいに決まってる。失敗したらどうしよう、バカな私が成功するのか、この転職という選択は間違いじゃなかったのか、そしてノリピーが会社を辞めるなら私も転職する理由の一つがなくなってしまう。

恋は押したり引いたり。不安な気持ちを持ちつつも重大な決意をした瞬間、絶妙なタイミングで「すっ」と引いたノリピーに見事に心の隙間を埋められたのだ。お前は喪黒福造か、心の隙間をドーンと埋めやがってなんていいオンナだ。今度は俺が別れたくなくなっちゃったじゃねえかよおおお。とりあえず1回しとく?

相手を落とすには引くタイミングが必要です。全国のなかなか意中の男性を落とせない女性のみなさん、好き好き好き好き攻撃ではダメです。押して引いて押して引いて。そうまるで押し寄せるさざ波のように押したり引いたりでジワジワと迫り、最後は大きな津波となって意中の男性を丸ごと飲み込めばいい。オトコはそんなバカな生き物です。

さあ、ノリピーの件は片付いた。(え?)

なんとなく恋愛続行という形だ。(え?)

身辺整理も必要ながら、別れるメリットもないのだ。(え?)

1人でも多く保険に入ってくれる人も必要だ。うん。(オイ)

 

とは言え、これを機に二人は2年ほど会わなくなった。連絡をたま~に取り合うくらいの関係になった。その間、1回もヤッてないのも断言しよう。

 

さあ、次は会社、そして天敵の本部長だ。

つづく

そろそろパンツ話もオシマイか・・・