売れない保険屋さん

セールストークのネタになれば。

~第30話:リストカッター~社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

~第30話:リストカッター~

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※まさかの最終章がとても長くなってしまったのでエピローグという事で。エピローグは終章って意味らしいですが、まあなんとなく行きましょう。

 

資金難に陥りノリピーと会う回数を減らした結果、ノリピーは情緒不安定なカス、いや、情緒不安定と化す。私と会える回数が減ったせいか、利用価値が少なくなったオンナに愛情が注げなくなったせいか、結婚が近いのでそろそろフェイドアウトを念頭に置いたお付き合いに変えて行こうとしたせいか、今まで通りパチンコに行けなくなったせいか、それかやっぱり王道のマリッジブルーなのか。ノリピーは既婚者の御曹司様を嫌いになってしまい、私を好きになってしまったようだ。

「あの人、キライ」

ノリピーは熱帯低気圧がもたらした台風並みに荒れた、荒れまくった。荒れたノリピーを抑えるにはもはやHしかなかった。強烈すぎるだろ、このおティンティンめ。小さくはないと思うし、ビデオ研究を重ねた結果、ヘタなAV男優よりジャンボだし、やはりダンディーな左曲りなところもチャームポイントで泣かせるネ。

 とか言ってる場合ではなく、とにかく非常にマズイ状況である。どうしたら御曹司の事を再び好きになってくれるだろうか。私みたいなカスは一時の気の迷いで、ボブ子みたいに目を覚ましてはくれないものか。というか御曹司はクソマジメだが色男。男の私から見てもスマートでかっこいいのである。大学もKO出身、しかも地位と金もある。クソマジメで面白味のない性格はアレとしても天は二物も3物も与えるんだなとため息が出るほどの相手。かたやこちらは30歳前にして45歳と言われたほどの老け顔でバカ、頭皮もM字開脚をしたAV女優のようにだんだんと薄くなり、華麗なる華麗臭もジワジワと私のカラダを侵略していく。

 勝てるところはどこもないのだ。生まれた瞬間から負けている相手だ。どうしてノリピーは私を好きになってしまったのだろう、やはりカスはカス同士が気楽なのだろうか、今となっても全くわからないけど、とにかくノリピーは私を好きになってしまった。それもメンヘラになるほどだ。全国のカスのみなさんの夢と希望を叶えるべく、ここは一発、カス代表として白馬に乗った王子様的に御曹司からノリピーを奪い去るべきなのだろうか。愛があれば貧乏でもいい、俺と一緒に幸せな家庭を築こう、子供も作ろう、大丈夫、カネなら俺が夜のバイトでもしながらなんとかするさ、などとB級ドラマみたいな事は夢には思わず、とにかく娘の結婚を願うお父さんのような気持ちだ。

とか言いながら私も借金さえなければ結構なお給料をもらっている超大手の会社員だという事を忘れていた。でも生まれてこのかた、一度も「お金に困ってない」事はない気がする。なぜだろう・・・。一度でいいからお金持ちになってみたい、できればかっこいいスポーツカーに乗って休日はどばひゅーんと夕日が沈む海岸線を走ってみたい。貧乏育ちで借金を抱えるカスな私は次第にそんな夢を具体的に持つようになった。

そんな事はとりあえず置いといて、メンヘラノリピーとの予測不可能な毎日はさすがの私も精神的に追い込まれた。特に注意しなければいけないのは会えない日だった。こちらも仕事があるし、毎日会うのは正直ムリ。そんな時は要注意で深夜の突然の呼び出しがある。

「えへへ切っちゃった」

「はい、了解」

これが呼び出しの合図だ。でも実はたいして切ってないのだ。「せめて目立たない位置で軽めの一刀」。これが私が説得してなんとかこぎつけた二人の約束だ。嫁入り前の女の子に傷など負わせたくないのが本音で、大変な事態になって二人の関係がバレたりするのはもっともっと困るのも本音。この約束を破った瞬間、俺たちは終わり。二人の間柄をバラされてもいい、どうなってもいいからこの関係に終止符を打とう。その代わりと言ってはなんだが、約束を守っている間は駆け付けようじゃないか。つまり一晩中、ノリピーの家の近くの駐車場で携帯電話でお話しながら過ごすのだ。こんな取り決めを交わしていた。しかし自傷癖がある人間の気持ちは全くわからない。だいたいなぜ自分を傷つけて喜ぶのだろう。お前は変態か。心配して欲しい、かまって欲しい気持ちの表れとも思うがそれで振り回される相手の気持ちは考えないのか。わがままなオンナは嫌いだぞ。

ところで私が頑張れたのは理由がある。あとから聞いたのだが、ノリピーは結婚式まで2カ月を切ると結婚相手の御曹司と婚姻届けを出し、同棲生活というか新婚生活を始める予定だったからだ。それが嫌でクスリを飲んだり、情緒不安定になったのだと思うが、戸籍上、二人は夫婦となり、共同生活が始まればさすがに私と毎日のように会うのは出来なくなるし、その時にリストカットしようがナニが起きようがそれは御曹司、つまり夫の責任だ。悪いけどネ。げへへへ。配偶者さん、頑張って。

そして私も予測不能なノリピーの相手を続ける事、約1カ月弱。ついに二人は婚姻届けを提出、(私が)待ち焦がれた待望の新婚生活が始まり、ようやく私は自由の身となる。二人の新しい生活がスタートしたのだ。今まで幾多の友人や知人の結婚式に出席したり、立会人になったりした私だが、間違いなく歴代No1の心からの祝福だ。

さすがに披露宴の招待状を送ったり、打ち合わせだとか前撮りだとかで忙しくなって来たのだろう。だんだんとノリピーも諦めたというか結婚式モードになっていった。良かった良かった、これで無事に何事もなく披露宴さえ終われば名実ともに社長の娘で社長一族の仲間入り、私のようなカスでは全く手が届かない場所へノリピーは駆け上がるのだ。華麗なる一族の仲間入りだ、よかったね。

と思っていた私。気が抜けてたというか、油断していたのだが、やはりすんなり行かなかった。

 

二人の同棲場所のマンションが私の住むマンションから近かったのだ・・・。

 いったいいつまで続く

 

後記:軽い気持ちで書き出したパンツ話がいつの間にか30話。ファイナンシャルプランナーのマジメなブログにする予定がこんな方向にw。今回は特に長くてスミマセン。2,000文字を軽く超えてしまった(笑)もっと要点をまとめてうまく書ければいいのですが。

どうせなら書き切ってしまいます。こんなアホな記事の更新をお待ちいただけるキトクな読者さま、お気を確かに。いつもありがとうございます。★や読者登録、コメントをいただけると頑張れます。キトクな方が多くてうれしい限りです。

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