売れない保険屋さん

セールストークのネタになれば。

「記憶に残らない保険契約」

「保険なんか掛けてる事を忘れてもらうくらいがちょうどいいのさ」

プルデンシャル時代、ある先輩が私に言った言葉の意味が今となってようやくわかる気がします。それがなぜ「今」なのかは置いといて。そして珍しくマジメな内容なのでつまらない内容です。悪しからず。

今、私が再び保険業界(プルデンシャルとは言ってないw)にチャレンジするとするならば、法人営業ではなく、個人(世帯)をしっかり掴みたい。そしてマネージャーや支社長になんと言われようとも高い保険料でのプランを提案せず、とにかく最低限の保障のみ提案する事に徹底する。
私がプルデンシャルに挑戦していた時期はどうしても「高い保険料」での契約が給料面にしてもメンツにしても営業所(マネージャーの給料)にしても重要になる雰囲気だった。社長杯だとかのプレッシャーもあったし、こっちも給料もらわないと生きていけないからね。
きっとそんなノリは今でもそんなに変わらないのではないかなと思うけど、それが私を含め、多くの人が失敗する元凶だと思うのです。もちろんプルデンシャルでこんな事を言うと「甘い」と言われるんだろうけどね。

 

「保険なんか掛けてる事を忘れてるくらいがちょうどいいのさ」

ある異色を放っていた先輩がタバコを吸いながら言ってくれた言葉。キャリアの長いベテランライフプランナーの先輩がそう言ったのは意外だった。

「毎月引かれる保険料が気にならないレベルじゃないとなw」

その先輩いわく、保険の内容なんていくら説明してもほとんどの客が忘れる。いくら貯蓄するにはもってこい、プルデンシャル最強の商品である「ドルRI」などで納得して加入したとしても、最終的には「保険料が高い」って印象しか残らない。(※ドルRIについてはこのブログのどっかに書いてますw)

「保険料が高いと意識されたら紹介も出なくなる」

確かにその先輩は毎週毎週、「安い」掛け捨ての死亡保障のみで契約を積み重ねていた。安いとは言え、掛け捨てだから死亡保障も大きく万が一の時には十分だと思える内容だし、そして何より圧倒的に顧客数が多いのだ。

忙しいでしょう?毎週、何件も契約してくる先輩に聞いてみた。

「ん?こんなもん、ちょいちょい説明したら終わりだろうがよw」

ん~!確かに。死亡保障に加えて貯蓄タイプの話までするから保険料が高くなり、一発で決めれないお客さんに対してクロージングも発生するわけなので、なんとなくお互いシコリが残るし時間も掛かるのだ、だから結果として「紹介も出ない」ワケで。

(※貯蓄タイプ=高い、掛け捨てタイプ=安い、です)

「保険は、高い安いじゃねえんだよ」

つまり、顧客数が大事だと言っていたのだ。小さな案件を多く積み重ねる事で、一見、その後のフォローなどが大変そうに思えるのだけど何せ「掛けてるのを忘れるくらいの保険料」だから月末で落ちなかっただの、保険料が厳しいだのと言ったありがちな愚痴も文句も出ない。その代わりその先輩には紹介の電話が良く掛かって来ていた。

「長く続けるにはひっそりこっそり・・・な」

確かにその先輩は週間トップだとか月間トップだとか取らないし、目立たないのだけど安定して成績を挙げ続けていた。社長杯なんかも興味なーしって感じで(笑)

「俺はあいつら(エグゼの人たち)みたいにはなれんけどな」

最高位であるエグゼクティブライフプランナーの人たちは「神」とあがめられ、件数も保険料も異常な世界で戦っている。あの人たちも「落ちる」ワケにはいかないのだ。プレッシャーもハンパないだろう、すごい精神力の世界だ。俺は派手じゃなくていい、そんな世界では戦わないと言っているのだ。

さて、毎週毎週、5万円の保険を1件決めるのに必死になっていた私に対して、1万円前後の保険を1~2件ほど契約してくる先輩は年に2回ほど大きな法人契約まで決めてくる事があった。

「先輩すげーっすね!」

「うーん、俺はいいって言ったんだけど」

超お金持ちの社長に対していつも通り掛け捨ての安いヤツを提案したら、逆に気に入れられて「会社の保険、面倒見てくれ」ってなったらしい。マジかw

当時の私は死亡保障と貯蓄を掛け合わせたベストプランと思えるものを堂々と提案していた。平均が月4万~5万円と言った感じ。もちろんクロージングも必死で、サインする旦那さんを心配そうに見つめる奥さんの顏を気にしながら心を鬼にしながらサインをもらっていたし、「落とす」事も多々あったのだ。

今考えるとなんて対照的だろう。私は華々しい社長杯やコンテストに踊らされていたのではないか。さらには利率の高いドル建ての保険などが大好きで「絶対に加入しないと損」だと心から思っていたものだ。結果、保険料が高くなり、見込み客の枯渇を招く。

一方、その先輩は掛け捨ての安い死亡保険のみをサラっと契約しては、次々と紹介をもらっていた。顧客からの愚痴やクレームもなく、掛かってくる電話は紹介の電話がメインだ。

「先輩、貯蓄の保険は売らないんすか?」

「ん?葬式の時に『この保険、いくら貯まってますか?』なんて聞くヤツおるか?」

高い保険はカネが余った時に相談してくれればいいのさ、と笑いながら言っていた先輩の言葉は当時「ガンガン行くぜ!」「俺もエグゼになるんだぜ!」と思ってた私の心には一切響かず、いつしかプルデンシャルを辞めざるを得なかった状況に追い込まれれば追い込まれるほど高い保険料の魅力に勝てなくなって行った私は実践する余裕もなかった。

まさにその先輩の考えは「死亡保障こそ大事」であるというプルデンシャルの理念通りではないか。今もその先輩は変わらずコツコツと安い保険料で安定した成績を挙げ続けていると小耳に挟んだ今日この頃。

「ひっそりこっそり」を実践し、高い保険料などでストレスがないお客さんを多く抱える事が多くの紹介を生み出す。そして退職する事なくお客さんの担当をずっと続けられる事こそお客さんが望んでいる事であるのだと思う。

たまにはマジメに終わり。そろそろアホな記事でも書こうっと。マジメは疲れるw