売れない保険屋さん

セールストークのネタになれば。

~第8話:勝負時~社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

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⑧社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

~第8話:勝負時~

クライアント先の「女王」はそれが部下であろうが業者だろうがわけ隔てなく誰に対しても厳しく、上司にも平気で噛みついていく、仕事が生きがいで曲がった事が嫌い、とにかくまっすぐなキャリアウーマンだ。業者は「女王」から睨まれたら一巻の終わりだ。もちろん私もそうだ。

一方、女王とこっそり飲みに行く約束をこぎつけた私は、誰も知らないであろう女王の個人の携帯番号をゲットし、着々と飲み友達になって行った。ボブ子には悪いが今はこっち優先だ。私とお酒を飲みに行き、カラオケも行き、二人で騒ぐだけ騒いで解散という金曜日を過ごすようになった。もちろんルールがあった。それも2つ。そのルールは以下の通り。

女王の会社は接待を受ける事が禁止だからバレてはいけない。他言無用はもちろん、会社から少し離れた「ある町」で飲む事。「ある町」とは女王が一人で暮らしている家がある町だ。会社からJRで40分くらい離れた町だった。もう一つのルールは「仕事の話をしない事」だった。仕事とプライベートをきっちり分けるオンナだったのと、やはり「業者と飲む事」に抵抗があったのかもしれない。

「毎週毎週来てるけど彼女とかいいの?」

「え?彼女いないから全然いいですよw楽しいし」

もちろんボブ子は正式な彼女ではないし、これはウソではない。そんなことよりも私の目的はとにかくコンペだ。年二回のコンペに勝たないといけない。この女王はその決定権を持っている。でも決定的なキッカケがない・・・。

(そろそろ勝負を掛けるか。)

酒や食事はおごってくれるし、40歳過ぎとは思えないキレイなおねーさんタイプでエロマンガの設定でありがちな後輩君を連れまわす年上のOLのおねーさんと思われれば一緒にいても全く違和感ないし、ワイン色したスカートから伸びるアンヨは果たして年相応なのか、それともやっぱりキレイなのか、ペロペロしちゃいたいんですがいいでしょうか。先生、わかりません。先生、教えてください。的なエロい雰囲気がたまらなくなっていたのはすでに当初の目的が変わっている気もしたが、とにかく「パンツを脱ぐ」方向でベクトルは一致してたのだ。ターゲットはこいつだ。

「・・この女を落とせばいいんでしょうが!」

的な、北の国からの田中邦衛ばりに強い意志だけは持ち続けていた。全てはコンペと課長の為だ。決してエロの為ではない。

思い切った作戦に出る決心をする。

(酔いつぶれてみるか)

もちろん私には終電がある。翌日は土曜だが仕事は山ほどあって、このチームに配属されて以来土曜に一度も休んだ事がない。なので金曜日は毎週のように女王と飲んでは終電で帰路に着いていた。つまり、飲んだ後は思い切って「終電逃しちゃったてへ」はどうだろうかと。安直すぎるけどこの町には「女王の一人暮らしの家」があるのだ。うまくいけば一気にプロジェクトが進むかもしれない。

女王は酒をセーブするのがとてもうまい。さすがというべきか、年の功なのか。いつも楽しく、そしてかなり飲むんだけども、壊滅的な飲み方は一切しない。つまりどれだけ飲ませても私の「小娘ばかり相手にしてきた経験値」では、つけ入る「スキ」がないのだ。もうこうなったら雲をもつかむような存在の女王に対して勝負を仕掛けるしかない・・・!

 

「今夜はとことん飲みましょう!」

 

「じゃあウチに泊まりなさい!」

 

「はい!」

 

・・・・(え?)( ゚Д゚)

 

あっさりプロジェクト成功の片道切符を手に入れてしまった。この続きは女王の家で飲もうって事になった。マジっすかーーー!(笑)

 

つづく

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