売れない保険屋さん

セールストークのネタになれば。

~第9話:営業努力~社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

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⑨社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

~第9話:ティンコ営業~

こちらスネーク、ついに女王の家に上がり込むことに成功した。

想像以上にボロい家だった。女王の印象には似合わない木造2階建ての家だった。ただ家の外面とは裏腹に生活空間はさすがに女性だった。スヌーピーやキティちゃんのぬいぐるみがあり、カーテンやシーツなども赤・ピンクと言った赤系のモノで空間は埋められて女性の一人暮らしって内装は違和感もない。ひとつ気になったのはキングサイズのベッドだった。シングル2個分の大きさのベッドがなぜ一人暮らしの部屋にあるのか。きっと男がいるのだろうしいてもおかしくないのだが、生活空間の中で「デカいベッドがある」以外の男臭はしない。

「お風呂いいよ~」

風呂を借りて、気合を入れる。俺は今から女王と対峙するのだ。ここまで来たら行けるところまで行こう。相手はあの業者から恐れられている首切り女王だ。すっかり飲み友達になっちゃって忘れがちだったけど、私はとてつもない相手を落とそうとしているワケで。とても緊張しちゃった事を覚えているけど悟られないようにするのに必死だったワケで。

風呂から上がり、コンビニで買ったシャツとパンツに履き替えるとスエットを貸してくれた。女王のスエットだ。いいニオイがした。もちろんちんちくりんで小さかったけどなんだかドラマのシーンみたいで緊張が緩む。

「さあて!飲むかあ!」

「飲みましょう!」

いつも通りの二人だ、薄暗く照明を落とした女王の家はドキドキ感もあり、たばこ臭いカラオケルームと違っていいニオイがして風呂上りでとってもいいニオイがするすっぴんでも40歳過ぎとは思えないほど若々しい女王とソファーに並んでTV見ながら飲んでるって、これサイコー。つーかどう考えても何もないワケないよ、コレ。

薄暗くていいニオイがする部屋で男女2人でボチボチお酒を飲みながら、最終電車が出た時間を見計らって勝負に出ると・・・もう決めた。

「寝ましょう♪」「いいよ」

私はまるで女王の彼氏のようにキングサイズのベッドへ躊躇する事なく向かい、布団にもぐり、隣に寝転がった女王に仕掛ける。

「はい、腕まくら」「あ、うん」

いきなり行かない。もう私はすっかりハンター気分だ。隣にいるのは女王じゃない、完全に手中に落ちたオンナだ。さっきまでの緊張はどこへやら。その状態でちょっとおしゃべりをする。こうなりゃ楽しむ。ジラしてやる。いひひひひひ。腕枕をした手を曲げて微妙にさわさわ・・・。いひひひひ。来るか?来るか?

 

・・・・いじいじ

 

・・・・・さわさわ

 

「がばっ」

 

女王からキタ━(゚∀゚)━!待ってたぜえええ!パンツを脱いだ!というより脱がされた!これで誘ったのは俺じゃないもんね。女王からだからなあ!げへへへへへ。今回は結果よりもプロセスにこだわってみた私。オンナは30しごろ、40させごろだ!

こうして私は40歳とは思えないほど美人でかわいい女王を落とす事に成功し、仕事上でも優位に立った。平日はボブ子と過ごし、金~土曜日は女王の部屋に泊まる。1年近くはそんな関係が続いた。私は上司と部下の関係である女王とボブ子に「私」という共通のヒミツを持たせたのだ。

この会社で脱いだパンツ通算2回目の結果、クライアントのキーマン二人を同時に落とし、私はその巨大クライアントの仕事をほぼ全て手中にした。キーマン二人からのピロートークからクライアントの情報は内部情報に至るまで手に取るようにわかり、負け続けたコンペ案件もライバル会社から奪回に成功、連チャンでゲット。社長賞も2回、前年比を常に300%以上で叩き出し続けた。全てが私の手のひらの上で繰り広げられる感覚、とにかく絶好調だった。ティンコ営業だろうがゲス野郎だろうがこれは営業努力だ、勝てばいいんだ。文句は言わせない。そこまで必死になってやらなかったヤツが悪い。私は「勝ち」に貪欲なんだ、文句あるか!

「お前なんか死んでしまえ」と思った方もいるでしょう。私はどこにでもいる普通のサラリーマンですよ。顔もそんなにブサイクじゃないと自分では思うけど、どこにでもいる普通の男。ただ、ただ、初期は会社に干され、挽回するためのチャンスをつかむために文字通り寝る間も惜しんで土日も休まず仕事に没頭し、とにかく必死だっただけで。想像を絶するような仕事量で本当に気絶しそうになるほど仕事をしてきたんだ。こんな私を拾ってくれた恩師の課長をオトコにするために。昇進してもらうために。そして私を奈落のドン底に叩き落とした本部長を見返したかった。そのために頑張ってきたんだ。

 

・・・・プロセスと手段はアレとしても。

 

第2章~完~

 

次回予告~第3章:転落人生の始まり~(タイトル仮)

つづく(と思いますが、読んでる人いるのかなwちょっと休憩かな)

 

追記:書きました(笑)↓コメントありがとうございました^^

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