売れない保険屋さん

セールストークのネタになれば。

~第2話:西城秀樹~社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

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②社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

~第2話:西城秀樹~

バカな私が奇跡的に受かった超大手の会社で、通算3回パンツを脱いだ。そのうち脱いだパンツ2回が大ヒットとなり、社長賞を2度も受けるという偉業を成し遂げる。

バカでどん底、仕事から干された私の起死回生、3回パンツを脱いだストーリー。

 

本部長に噛みついてからというもの、朝、出勤してから一日中、誰と話す事もなく一日を終える。そんな毎日が続いた。

一番の苦痛は帰りの挨拶だった。規則上、18時退勤だが18時に帰る人間など一人もいない。本当に一人もいないのだ。あまりに帰り辛い雰囲気の会社であったのも事実で、「早く帰る人間は仕事をしていない」、そう揶揄されるほど誰一人として帰らない。会社の時計が21時を超えてからぽつり・ぽつり、と「お先に失礼します・・・」と申し訳なさそうに社員が帰っていく。25時を超えるとようやく堂々と帰れる。そんな会社だった。

私は毎日ヒマだった。だってずっと机に座ってるだけだし。

18時になる。営業マンの目が私に集まる。私は毎日先陣を切って18時退社する特攻隊長だ(笑)

「することないので帰ります」ぺこり

本部長に向けた帰りの挨拶は皮肉にしか取れない腹いせかつ、事実だ。こちとら朝から何もしてないのだ。

私を指導する先輩が本部長から呼ばれ、こっぴどく言われたらしいが私は知ったこっちゃない。むしろ、ざまあみろ!だ。だいたい先輩と私には相互無関心条約が結ばれているのだ。ざまあ。

そんな毎日が続くある金曜の夜、管理職クラス営業マン5名と本部長を囲っての飲み会があった。ひたすら殿(本部長)のご機嫌をうかがう、いわゆる「誰も行きたくない飲み会」である。私の先輩も参加していた。

私はちょうど別の居酒屋で大学時代の友人3名と楽しく飲んでいた。そんな時、私の携帯がなる。その無関心条約を結んだ先輩からだ。

「今からこい。本部長の件、挽回させてやる」

「イヤです。友達と飲んでます」

「いいから来てくれ、お前の得意なカラオケで盛り上げてくれ」

どうやら殿の御一行はカラオケらしい。私もカラオケは好きだ。盛り上げ役と言えば私だ。今まで幾多のシラケた会場を盛り上げて来た。スナックで覚えた振付、踊り、合いの手、そして幼少の頃よりピアノを習い、ロックバンドではギターヴォーカル担当だった。けっこう飲んで酔ってた私は(ふふふ、俺の力が必要か!)と勝手に舞い上がり、一緒に飲んでた友人達に「本部長から呼ばれちゃってさ」などとデキる営業マンを演じ、タクシーに乗ってカラオケ会場へ向かった。

カラオケ会場へ到着する。

(ここは戦場だ。敵はあの本部長だ。どんなトラップがあるかわからない。油断するな、慎重に行け・・・!)

「今から2曲目に西城秀樹、入れてるからお前は曲が掛かったら乱入しろ」

部屋入口で私の到着を待ってた先輩から指令が来る。

「傷だらけのローラっすか?」

ふふん、余裕だぜ。だいたいおまえら、カラオケの盛り上げ方も知らんのか。

「パンツとか脱いでもいいから盛り上げてくれ・・」

ふふん、パンツなどどこでもいくらでも脱いで来たわっ!それくらいで躊躇する俺じゃない。しかし、無関心条約を結んだあの先輩が何度も何度も私に懇願してくる。きっとこの部屋の奥ではかなりの盛り下がりなのだろう。あの先輩が俺を頼っている・・・!ふふふ、この際、本部長などどうでもいいがここで一発決めて、クソ野郎どもに吠え面かかせてやるぜ・・・!

そして通算3回のうち、第1回目のパンツ脱ぎが実施される。

「傷だらけのローラ」がかかったと同時に私はトイレットペーパーでぐるぐる巻きにされた自慢のおティンティンをひっさげて、生ビール片手にほぼ全裸で本部長のいる本丸(カラオケ部屋)へ突撃したのであった。

 

次回予告:第三話~おら飲めやぁ・からみ酒のローラ~

 つづく

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