売れない保険屋さん

セールストークのネタになれば。

~第35話:ヘッドハンター~社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

社会に出たらパンツを脱ぎなさい。

~第35話:ヘッドハンター~

 

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(逃げたい)

弱音を吐いてしまった。逃亡願望アリ。時期社長夫婦を間接的とは言え私は離婚させてしまったのだ。あくまで間接的で決して直接的ではない。きっと、多分。そして原因の一つとなったオトコとその元奥さんは付き合っているというか私に突きまくられてるのだ。いつか、いつかバレるに決まってる。

そんな時、天敵の本部長が私が勤める支社へ来た。いつものように黒塗りのハイヤーなど乗りながら。偉そうに。ふん。

「お疲れさまです」

「ふん」

いつも通り、交わす言葉はこれだけだ。犬猿の仲だし、お互い嫌い合ってるからそうなるのも当たり前だ。と思ったら、「おう、ちょっといいか」と応接室に呼ばれてしまった。

「なんでしょうか」

「・・・来期、お前のチームを作ってやる」

「は?」

「お前は俺が嫌いだろ?」

「ええ、まあ・・緊張するのは事実ですケド」

「本社に戻してやると言ってるんだ」

なんと私をチームリーダーというか、経験者として新しい課を作る構想が立ち上がり、来期あたりに始動するとの事。管理職には興味がなかったから経験者的な立場でアレコレ指導するような立ち位置だからそれもいいかもしんない。まあ、新しい事業が全国的に有名になっちゃったから、本部長に向けても何かしら指示が飛んだんだろう。しかし面と向かって「俺の事が嫌いだろ」だなんて言ってくる本部長も相当だなと思うけどね。

 ちょうど逃げたいとか弱音を吐いてた時だったからこれぞ渡りに船、まさに今、私が望んでる変革だ。私は仕事は頑張れても人間関係に弱く、特に女性絡みには弱いのだ。

まあ、来期というからあと半年くらい先の話だし、今から構想を練っておけ、だなんて適当な指示を受けただけ。とは言え、何かしら近未来に変化が訪れるというのは寝ても覚めても同じ仕事をするサラリーマンにとっては楽しい気分になるものだ。ただ、キライな本部長とまた同じ職場になるのはイヤだし、正式な人事ではないし、まだ半年あるし、どう話が変わるかわからないからまあ、ボチボチ考えるかな、と思っていた。それにあの本部長がわざわざ私に会いに来たという事実も大事で、ついにあのオッサンを見返しつつあるという事になるかもしれないという事ですっかり有頂天な気持ちにもなった。

そして本部長が来たにはもうひとつ理由があった。ついに私も上級職に昇進だ。これを境に給料が一気にうなぎ登り、ボーナスなども100万円を超す額が一撃で私の通帳に振り込まれる事になる。身銭を切ってでも仕事頑張ってよかったあ。などと思ったりもした。

 

そんな時、会社に私宛に電話が掛かって来た。

「ヘッドハンティングのお話なんですが」

 

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